美術刀剣研処 世田谷文永洞
切れ味と美しさを蘇らせる
伝統の「研ぎ」の技
数ある日本刀の製作工程の中で、刀剣としての切れ味と美術品としての美しさを同時に仕上げていくのが研師の仕事です。切れるようにするだけなら荒砥一本で十分ですが、美しく仕上げるためには何十種類もの砥石を使い分けます。また体調が悪かったり、早く仕上げようと焦ったりすると仕上がりに悪影響が出るので、そうした時には思い切って手を休めたり研ぎ以外の仕事をして、常に平常心を保つことも大切だと研師の根本卓さんは語ります。
研師にはどんな天下の名刀にも気後れしない強い精神力と、刀に素直になってくれよと願う謙虚な気持ちの両方が必要です。そうした境地に達してはじめて、何百年もの歴史ある名刀でも平常心で研ぐことができると師匠から教えられたといいます。研師としては若い世代である根本さんですが、師匠から学んだ技をベースに先輩研師の貴重なアドバイスを受けながら、日々の仕事の中でお客さまの要望に一つひとつ応えていく中で、自分独自の技の引き出しを増やしていくことに力を注いでいます。
伝統の「掟」を崩さずに
後世へ伝える使命
日本刀には、「五箇伝(大和伝、備前伝、相州伝、山城伝、美濃伝)」という各地の伝統の作風(伝法)があり、「掟」と呼ばれます。それぞれ特徴ある肌の模様や刃文を持っており、研師は研ぐ前に刀の流派や、傷や刃こぼれの状態をよく見極めます。受け継がれた伝統を崩さぬよう掟に従って研ぎ、美しい刃の肌を蘇らせる。日本刀を正しい姿で後世に伝えることこそ、研師の仕事の最も重要な部分です。
美術刀剣研処 世田谷文永洞
代表者 | 根本 卓 |
所在地 | 世田谷区弦巻5-16-17 |
設立 | 平成19年(2007年) |
主な事業 | 日本の文化財である刀剣の研磨 |
連絡先 | 03-3439-5061 |